社会の底辺に暮らすひとたちの姿
『万引き家族』をNetflixで観ました。本当は映画館で観たかったのですが、時間もお金も・・・と観そびれていた悲しき労働者の私。だからNetfrixで配信この映画が配信されているのを知った時にはやった!と思いました。もう観られるんだ~という感じでしたね。
この映画でまず感じたのが、「ああ、これが社会の底辺なんだ、こんな環境がきっと、日本のあちらこちらにあるんだ」
ということなのです。
雑然と散らかる古い家屋。
どこに何を置く、とか、だれも考えない。片付けという概念がない人々が住む家。
つまり、片付けをして自分の人生を充実させようとか、考えもしない。自己啓発本にあるような「自己実現」とか、そんなことを考える余裕も、知性も、それまでの人生で与えられることのなかった人たちがきっとこの社会にはたくさんいるのではないでしょうか。
家族ではない人たちが見せる「家族愛」。その本質とは
そんな人たちが、この映画では”家族の体”で暮らしている。
その『家族』の中で父に位置する男と、その息子に位置する二人はスーパーで万引き。雑然と散らかるその家にはおばあさんと、父の奥さんのような女、若い娘が住んでいる。
つまりその家族のような集合体は実は本当の家族ではなくて、それでも彼らには家族の絆のようなものようなものが生まれている。いや、絆なんていう、大それたものじゃないんですよね。
誰かと生きることで自然と生まれる愛着というんでしょうか、相手の存在になじんで安心することで感じる「そこはかとない愛情」が彼らの中にはちゃんとあって、そのことがこの映画の根底に流れているテーマのような気がします。
世間から後ろ指をさされるべき行為を平然と行う、いわゆる底辺の大人と、それに頼らざるをえない子どもたちが、大きな夢とか希望なんかないなかで見せる人間らしい姿。
彼らには人生に対する諦観がすっかり備わっていて、だからこそなんのこだわりもなく人を愛することができるのです。きっと・・・
そんな世界観を、この映画で見せてもらった気がしました。
キャストもストーリー展開もすごい
そして「え~!」と驚かされたり、「あ~どうしよう」とハラハラしたり、そういったストーリーとしての面白さもこの映画にはちゃんとあります。
キャストもやっぱりすばらしく、安藤サクラ、リリー・フランキー、樹木希林はご想像の通りで、子役の子たちもとても良かった。
是枝裕和監督の話題作、第71回カンヌ国際映画祭において最高の賞であるパルムドールを獲得した『万引き家族』。
観る価値大だと思います!