須々木ユミの「これを観よう!」

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生と死と世界の秩序!?<『グリッチ』を観て、考えさせられたこと>

Netflixで配信中のオーストラリアのドラマ、『グリッチ』。(2019.11.2現在)

(大したネタバレじゃありませんが、ちょっとネタバレしちゃうので、この先はもう観ました~という人だけにしてくださいね)

 

Glitch - Season 1 DVD (Region 2, 4) (Aust Import)

このドラマ、シーズン1、2、は大分前に観終わり、これ、ぜったいここでは終わらないじゃん・・・と、次なるシーズンをそこはかとなく待っていたのですが・・・。

 

しばらく前に(アバウトですが)、シーズン3が配信されたのです!おお!やってる!と思っていたのですが、私は『ブレイキング・バッド』やら『ベター・コール・ソウル』やらで忙しく、なかなかこちらにまで手が(目が)回らなかったのです。

 

そしてつい最近、シーズン3一気見完了。

悲しくも、どこか納得のラストでした。

死者がよみがえる!?でもゾンビではないのです

 舞台はオーストラリアの小さな町、ヨラーナ。

なんといってもこのドラマは「お墓から人々がよみがえる」おハナシです。

墓から這い出てくる死者(いや、死んでたはずの人)たち・・・!

キャー!ゾンビ!?と思いきや、

彼らは土よごれにまみれているものの、見た目も感情も、まるっきり普通の人間なのです。

死んだ当人固有の遺伝子や記憶なんかをしっかりと受け継いで再生した人間、といったところでしょうか。

 

そして、彼らは生前の姿そのままで、自分を愛した人の前に現れます。

亡くなって時が経ちすぎた人はまた違った登場の仕方で、彼らの血縁と出会ったり、過去と対峙したりします。

シーズン1、2を大分前に見たせいか、ちょっと忘れていてなんとも説明しずらいのですが、大きくいってしまうと、「一度死したものがよみがえるという無秩序な状態を作為的に作ったことにより、彼らをとりまく人たちは混乱し、自然の摂理で構成されているこの世界はついに壊れてしまう(厳密にいうと、壊れてしまいそうになる!)・・・」というお話といったところでしょうか。

 あってはならない、許されない奇跡(涙)

死んだはずの愛した人が目の前に現れる奇跡。その喜びもつかの間、現世の人々と、その”本来ならばここにいるはずのない者”との間には軋轢や感情の混乱が起こる。そして、そもそも存在すべきではない彼らの「二度目の生」は、それを認めない者やその不可思議な「生」を利用しようとする者、そして自然のコトワリなどに何度も脅かされるのです。

 

そしてこのドラマの切なさは、その「よみがえった者」たちの、心の叫びにあります。彼らは「人間」の心をそのままに蘇ったのに、その「もう一度生きたい、生きなおしたい」という思いは最終的にはこの世界に届かないのです。

 

死んだ者は、ここにいてはいけない。

人生は二度、生きられない。(ドラマではしばらく生きちゃいましたが)

どんなに理不尽な理由で奪われた生であっても、どんなにこの世に未練があっても、それを理由にもう一度この世界で生きなおすことはできない・・・。

 生きるって悲しい!だからこその「愛」なのです

こんな哀しいことってありますか?

そして最終的には厳然たる自然の摂理に従う彼ら。

画面遠くに消えていく彼らの背中を見ながら、ああ、世界ってこういうことなのね、生きるとは理不尽で、救いようのない絶望を内包した、とんでもない所業なのね。そして愛は、そんな私たちの生に意味を与えるたった一つの光なのね~・・・。

 

そんな後味を、このドラマは私に与えました。

ユーモアといってはさほどなかったドラマですが、スリルもあり、なかなか面白かったです!

そしてほんの少し、死ぬことの理不尽さを克服できた気がします。自然のコトワリには逆らえない。絶対!という納得を得ることができました。

 

なかなか哲学的でしたよ!

生きているうちに、人生を味わい、楽しむしかないですね!!