須々木ユミの「これを観よう!」

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6/14(金)全国ロードショー<前田敦子主演、黒沢清監督『旅のおわり 世界のはじまり』は、ウズベキスタンが舞台の美しい映画>

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6月14日公開!

雄大な景色や、人々が行きかう雑踏も魅力

『旅のおわり 世界のはじまり』。かつてシルクロードとして栄えた中央アジアウズベキスタンが舞台の、とても美しい映画でした。雄大な自然、人々が行きかう雑踏、第二次世界大戦時に日本人捕虜が建設に携わった「ナボイ劇場」。この異国の地に、前田敦子演じるリポーターの葉子が、スタッフとともにバラエティ番組の撮影のため訪れます。その胸に「歌う」という夢を押し込め・・・。

 

「人間の夢と孤独」を肌で感じられる映画 

この映画を観て感じたこと、それは、「世界にポツンと一人で立たされている人間の孤独」です。それはきっと誰しもです。どんな場所にいても、人間は多分、誰しもそんな存在なのです。リポーターの葉子(前田敦子)だけを追いかけ、彼女に余計なセリフを言わせず、ストーリ展開、というほどのドラマ性を設けずに淡々とバラエティ番組の撮影を進めていくこの映画の構成、撮り方がその「人間の孤独」を私たちに感じさせます。

 そして葉子は異国の地で、不安ながらも自分の足で歩みを進める。そこには確かに未知への好奇心があり、振り絞った小さな勇気があって、それらが「本当の自分の夢」に向かう原動力になっていく。世界にポツンと一人立たされた存在である彼女が、夢へのたしかな何かをつかんでいく様子を肌で感じられる映画でした。

 スタッフ役の俳優が好演!その存在感が心地いい

加瀬亮、染谷翔太、柄本時生というキャストもとても良かったです。主役ではない彼らの、それでもそれぞれの個性がちゃんと際立つ感じ。主張しすぎないけど、「この人はこういう人なんだな、こんな人っているよね」という存在感が心地よいというか、そういう人物の描き方がとても上手な監督さんなんだなと思います。異国の地で現地の人との感覚のズレに苦しんだり、そんな現実を割り切って仕事を進めていったり、彼らの中にもあるあきらめと希望と孤独も、ちゃんと感じられました。

 ウズベキスタンと日本、初の合作映画です 

ところでこの映画は、ウズベキスタンと日本、初の合作映画なのです。「日本・ウズベキスタン国交樹立25周年」、そして日本人がその建設に携わった首都タシケントの「ナボイ劇場完成70周年」の記念プロジェクトとして、日本の黒沢監督がその映画作成のオファーを受け、それを監督が快諾し、撮影が決まったとのことです。『旅のおわり 世界のはじまり』は、旅をしたような気持ちになれる映画でもあります。ぜひ映画館に足を運んでみてくださいね!