そのねちっこい明るさが恐怖に変わる!埼玉愛犬家殺人事件という実話+園子温監督の最強タッグで「怖いものナシアリ」
怖いですよ、この映画は。人が死ぬのを何とも思わない熱帯魚店の店主に、同じく熱帯魚店を営む普通(のちに普通ではなくなるが)の男とその家族がガンガン巻き込まれるんですから。
実話というか、本当にあった殺人事件をもとに作られた映画なんですよね。
エロはOKでもグロはダメ、っていう人にはお勧めできないです。でもですね、この映画の怖いところは、血が~とか、キャー殺される~とか、そんなお化け屋敷レベルのものではないんですよ。(なぜかグロ耐性を備えている私からしたら)
いってみれば殺人鬼である村田(でんでん)の、なんともいえない迫力と狂気が怖いんです。もう彼の本質は悪そのものなのですが、その悪も、貫けばそれは一本通った筋、になっちゃうんです。それが怖い。彼から聞かされる長々とした理屈も冷静に考えればおかしいのですが、聞いているうちに「ちょっとそうかも」と思わされる。彼の話には人の弱さにしっかりと入り込む魔力があるんですよね。
そして彼の毒牙にかかったら、もう逃げ出せない。別に物理的に監禁されているからとか、そんなんじゃなくて、「ああ、無理だ・・・」と我々は力なくコウベを垂れるしかないのです。
その心理的な恐ろしさを味わいたい方は、ぜひ観てください!
園子温監督らしい結末
そして結末はですね、あれれ~そうなる!って感じです。基本ネタバレしないゆるい映画評!?にしてありますので、書きませんが、後半は、男の理想的な強さ、女の性分みたいなものがしっかりと描かれています。本当の事件とは遠くはなれた次元の話ですね。そんなプチ男女ストーリーと実際の事件のグロさが相乗効果となって、エログロの園さんらしい(といいながら、そんなに詳しくないですが)結末となっております。
事件を忠実に再現、みたいなものを期待しているとしたら、ちょっとそこはあきらめた方がいいかな。です。
でもこの映画、心に、目に焼き付くことは確かです。私はみなさんに観てほしいなあと思います!